リアルユーザーモニタリングとは?
リアルユーザーモニタリング (RUM)とは、Webサイトに対するユーザーのインタラクションをリアルタイムで監視することです。RUMは、エンドユーザーがWebサイトをどのように認識しているかを可視化し、分析できるようにします。
ビジネスのデジタル化とグローバル化に伴い、Webサイトはさまざまなデバイスや地域からアクセスされるようになりました。理想はあらゆる地域やデバイスに対して一貫したユーザー体験を提供することですが、実際にはネットワークの遅延、運用上の不具合、要求されたリソースの取得トラブル、ISP接続速度の不足など、さまざまな外部要因によってユーザー体験が影響を受けます。さらに、あるブラウザで動作するものが、別のブラウザでは動作しないこともあります。
そこで大切なのがRUMです。RUMは特定の地域でWebサイトが遅い理由を確認したり、ページの読み込み時間に問題がないかを確認したり、ユーザーがページを放棄した箇所と理由を見つけたりするのに役立ちます。RUMによってもたらされた情報は、Webサイトのパフォーマンス最適化に貢献します。
RUMの仕組み
RUMでは、専用の短いJavaScriptをWebサイトのヘッダーまたはフッターに挿入し、Webページがロードされたときにすべてのパフォーマンスデータを取得します。リダイレクト時間、JavaScriptエラー数、AJAXコール数、ユーザーセッション数、DNSルックアップ時間、接続時間、ネットワーク時間、バックエンド時間、フロントエンド時間などのメトリクスが取得されます。

RUMとWebシナリオ監視の違い
リアルブラウザモニタリング(RBM)としても知られるWebシナリオ監視は、さまざまな場所からさまざまなブラウザでページの動作をシミュレーションすることで、Webページのワークフローをテストします。RBMではシミュレーションを定期的に再生することもできます。RBMは、リリース前やリリース直後のWebサイトのパフォーマンス評価に役立ちます。
しかし、すべてのシナリオをシミュレートすることは不可能です。前述のように、ネットワーク遅延やISP接続の遅さはWebサイトのパフォーマンスと関係ありませんが、エンドユーザーのWeb体験を妨げている可能性があります。RUMを使用すると、その原因がネットワーク遅延にあるか否かまでリアルタイムで監視できます。
RBMとRUMは同じ問題に対する代替的な解決策ではなく、統合的なエンドユーザー体験改善のために 互いに補完し合うものであることに注意が必要です。

RUMとGoogle Analytics(アクセス解析)の違い
デバイス、ブラウザ、地域等のデータはRUMだけでなくGoogle Analytics等のアクセス解析ツールでも取得されますが、前者は主にユーザー体験とパフォーマンスを分析することを目的としているのに対し、後者はユーザーの行動に焦点を当てています。
Google Analyticsをはじめとするアクセス解析ツールは、あるページから別のページへのナビゲーション経路や、ページのロード時間、直帰率、離脱率を取得します。一方でRUMはページのロード時間、個々のリソースのロードにかかる時間、JavaScriptエラー、AJAXコールを特定します。RUMによって提供される情報は、問題が発生したときにその原因を特定し、フロントエンドのパフォーマンスを最適化するのに役立ちます。

RUMを活用できる職種
RUMは主に開発者やDevOps、IT管理者に利用されています。
- 開発者:
開発者にとっては、個々のWebページがさまざまなエンドユーザーにどのように読み込まれているかが関心の対象です。
RUMはネットワーク属性、ユーザーごとにダウンロードされるコンテンツ、ダウンロードされたコンテンツをレンダリングするために消費されるフロントエンドのリソース、プラットフォームの互換性、JavaScriptのエラーなど、ページのロード時間改善に役立つさまざまな要因を可視化します。 - DevOps:
DevOpsチームにとっては、インフラがあらゆる種類のエンドユーザーにどのように対応しているかが関心の対象です。RUMは、レスポンスタイムの急増が予想される要因(トラフィックの増加、特定の地域でのパフォーマンスの低下)に起因するのか、予想外の要因(ISPやCDNの問題)に起因するのかを判断するのに役立ちます。
- IT管理者:
RUM は、IT管理者にネットワーク遅延、エラー、ユーザーセッションを含むフロントエンドのパフォーマンスに関する統合的で詳細な情報を提供します。

RUMの主な特徴
シングル・ページ・アプリケーション(SPA) のパフォーマンスを監視: RUMは、近年主流となっているSPAにおける非同期リクエストのトラッキングも可能です。
ユーザーセッションの分析:ユーザージャーニーを監視し、ユーザがページを離脱または操作を放棄した理由がページの応答時間の遅延にあったか否かを分析します。
JavaScriptエラーを特定し、排除: JavaScriptエラーが発生した正確なURLとコード行を特定します。また、特定のエラーの原因となったユーザーパスを追跡し、問題のあるトリガーを分析することもできます。
Webページのパフォーマンスを分析: 個々のWebページのレスポンスタイムとスループット、画像、CSS、スクリプトなどのリソースのロード時間を特定し、それに応じて最適化します。
ブラウザのパフォーマンスを追跡:JavaScriptエラーのような問題は、ブラウザ固有のものである可能性があります。RUMを使用すれば、それらを特定し取り除くこともできます。

RUMの始め方
Site24x7が簡単です。サインアップして、Site24x7が発行するJavaScriptをWebサイトのヘッダーまたはフッターに挿入するだけ始められます。しかも、多くのコストを必要としません。